欲望と向き合う

私は、辛い状況で耐える能力が比較的高いですが、そういう状況は、疲れるし大変だし、嫌いです。

 

つまり、我慢は得意だけど、マゾっぽいわけではないということです。

 

そういう辛い・マイナスの状況下においては、プラスのカウンターを合わせる必要が必ず出てきます。

 

そのため、私は自分の「欲望」に関しては、ほとんど規制をかけずに、水道の蛇口開けっぱなしのような状態のまま放置するという習慣が付いています。

 

私の欲望とは、「睡眠欲」「食欲」「タバコ欲」とかですね。

 

しかし、この度、「タバコを止めることにした」し、「朝ちゃんと起きたいし」「ちょっとダイエットして痩せたい」という事情があり、

 

これらの制御なし欲望を、制限する必要を感じています。

 

「欲望と向き合う」というミッションです。

 

欲望をコントロールする、というと、「なにか立ち昇るもの」を「抑えつける」みたいなイメージがあるかと思いますが、

 

それよりも、もっと良い方法が、「別の軸を導入する」です。

 

「欲望が満たされる」を「プラス」、「不満状態である」を「マイナス」とする軸がすでにありますが、

 

その軸とは関係なく、新たな軸を導入することによって、柔軟な制御が可能になります。

 

別の軸を使用するってことは、つまり、

 

「欲望が満たされようが不満だろうが、どっちでもいいよ」

「プラス状態でもマイナス状態でも(その別の軸を用いて)対応するよ」

 

という態度なので、ある意味、自動的に俯瞰状態になっています。

 

で、その別の軸とは何かというと「安定志向」です。

 

「欲望が満たされる(プラス)」と「不満である(マイナス)」が両方ありえる状態での、安定志向とは、

 

「大体、プラスマイナスゼロ付近で、小さく波打ってるな(凪いでいる)」ことがベターだという捉え方です。

 

世の中には、「欲望が満たされる最高点の絶頂幸福を追求するんだ」というチャレンジャーもいらっしゃると思いますが、

 

私の場合は、昇り降りの激しいジェットコースターのような人生を送ってきて、非常に大変な思いをしたので、「安定がいいな」という嗜好を持っています。

 

で、欲望のプラスマイナスを安定させるという軸を持って、欲望と向き合うことにしました。

 

で、これはけっこう重要な情報なのですが、

 

人が幸せを感じるモデルには2種類あって、

 

ひとつは「絶対幸福」、もうひとつは「加速度幸福」です。

 

「絶対幸福」とは、たとえば「ふかふかの温かいベッドで寝られる」という恵まれた環境によって「プラス100ポイントの幸福ですよ」という概念です。

 

夏にエアコンを使える状態では「プラス200ポイントの幸福」だったけど、エアコンが壊れたから暑すぎて「マイナス100ポイントの不幸」になりました、とかですね。

 

一方、「加速度幸福」とは、

 

前述したエアコンの例でいうと、

 

「プラス200ポイント幸福」から1日で「マイナス100ポイント不幸」に転落した、

 

その単位時間当たりの落差が「マイナス300ポイント不幸」ですよ、という概念が「加速度幸福」です。

 

これは逆も言えて、

 

「今まで家にエアコンがなかったけど、ついに買って、部屋が涼しくなった」

 

その「急に幸せになった度合い」が「プラス300ポイント幸福」でした、ということですね。

 

これって、資本主義におけるイノベーションの価値というのがまさにこれで、

 

「文明の利器ですでに便利な生活ができているのに(絶対幸福がプラスなのに)」

 

「急に幸せになるイノベーションがないから(加速度幸福がないから)」

 

「私は幸福じゃない」

 

みたいな認知ですね。

 

例えば麻雀の手で最高打点を目指す、というような「幸せの絶頂を狙う」のであれば、

 

当然、「絶対幸福」を最上まで押し上げた上で「加速度幸福」もMAXを追求する、という主旨になるかと思いますが、

 

今の私は「凪」を目指す「安定路線」ですので、

 

私目線では、「加速度幸福」は害悪にしかなりません。

 

急上昇も、急下降も、どちらも安定を乱すマイナス要素と捉えているからです。

 

近年の日本経済のような、

 

「ずうっとGDPが横ばい」みたいなのも、「加速度幸福」を害悪と捉えているのでしょう。

 

江戸時代のような「平民は生かさず殺さず」で、ずうっと同じだね、を徳川家康さんとかは好んでいたのでしょう。

 

戦争で大負けするのは嫌だし、大勝ちして大高揚するのもノーサーンキュー、平和で安定しているのがいいね、という志向だと思います。

 

私は江戸時代を理想としているわけではありませんが、安定繋がりで、似ている側面があるということです。

 

で、欲望の「加速度幸福」は、できるだけ「ゼロがいい」

 

一方、「絶対幸福」は、どういう形が理想かというと、

 

「常にちょっと不満(マイナス)」が最も好ましいということに気づきました。

 

普通の一般的には、「常に満足」が良いと思ってる人が多いと思いますが、

 

安定を是として、「凪」を目指す志向においては、

 

「常にちょっとマイナス」をニュートラルポジションにすると、凪を作り出す制御が容易になります。

 

なぜかというと、

 

「絶対幸福」が「マイナス」の方が、「幸福(プラス)を感じやすい」からです。

 

普通の状態で、冷たい水を飲んだら、「まぁ美味しいな」だけですけど、

 

喉が渇いた状態で、冷たい水を飲んだら「くぅ~っ美味い!」となりやすいです。

 

「初手がマイナス状態」の方が、「幸せになるための」「助走が効いている」ということですね。

 

ということで、私の欲望、「睡眠欲」「食欲」「タバコ欲」は、

 

「常に満たされていない、不満状態がニュートラルなんだ」という認識で、

 

その前提で、

 

「凪げ!(プラスマイナスゼロ付近を維持しろ!)」

 

という命令を、理性から送って生きています。今日からですね。

 

あとは、「こういう楽しいことをしよう」という有意識を用いた能動的な態度は、幸福になりやすいですけど、

 

あんまり幸福になって加速度幸福がついてしまうとマイナスなので、

 

あまり能動的には「楽しもう」とか考えるのを抑制しています。

 

つまり、「無為自然で、あるがままでいよう」ということですね。

 

「常にちょっと不満がニュートラル」で「あるがまま」で「凪げ」

 

これが今の私のコマンドです。

 

日記を書いている今も、頭がちょっと疲れて、良い感じに「ちょっとマイナス」状態で、「よしよし、安定しているな」と喜んでいます。

 

欲望と向き合うゲームにおいては、これは比較的イージーゲームですが、

 

欲望のコントロールを今までほとんどしてこなかった私にはちょうど良いと思っています。

 

安定路線が好きな方は、よかったら参考になさってください。

 

おわり