MMTへのツッコミ

数日前「MMTなんてないさ♪MMTなんて嘘さ♪」という日記でMMTを詐欺的な手法とディスったのですが、MMTはまともな理論だという噂を聞いて、また考えてみることにしました。

 

MMTの本読めばいいのですが、アマゾンのMMT本の画面までいくのが精いっぱいでした(買ってない)。怠け者の本領を発揮して、アマゾンの商品紹介のページの短い紹介文を見て突っ込んでいこうと思います。

 

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MMT(現代貨幣理論)の特徴】
●日本や米国のように「通貨主権」を有する政府は、自国通貨建てで支出する能力に制約はなく、デフォルトを強いられるリスクもない。財政赤字国債残高を気にするのは無意味である。
●政府にとって、税金は財源ではなく、国債は資金調達手段ではない。政府が先に通貨を支出しない限り、民間部門は税金を納めることも、国債を購入することも論理的に不可能である。税金は所得、国債金利にはたらきかけ、経済を適正水準に調整するための政策手段である。
●政府は「最後の雇い手」として、希望する人々全員に、一定以上の賃金水準で就業する機会を約束することができる。この「就業保証プログラム」は、「完全雇用と物価安定」という公共目的に資する、強力な経済安定装置である。

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その①「通貨主権」

●日本や米国のように「通貨主権」を有する政府は、自国通貨建てで支出する能力に制約はなく、デフォルトを強いられるリスクもない。財政赤字国債残高を気にするのは無意味である。

 

通貨主権というのはあやしい言葉ですね。

どう怪しいかというと、通貨主権のアリ/ナシを0/1の区別で認識しているような気配がするからです。

「〇〇の国は通貨主権があると認めます!」となったら、

MMTにおいては、それが絶対的に保障されているかのような扱いをしているようですが、現実はそうなっていません。

国が信用を失うと、通貨の価値も落ちる可能性は常にあります。

現実には、通貨の価値変動が、「国の信用と対になって連動している」わけではなく、ダムの決壊のように、「ずっと安定してるけどある危険水準を超えると急に暴落する」ようになっています。

この性質によって、通貨主権は絶対的で安定しているように誤認されやすいものですが、実際には通貨主権も「国の信用」の影響を潜在的に常に受けている、壊れうるものです。

「通貨の基礎は信用であり、その信用は失われる可能性が常にある」という事実を無視しての前提設定になっているので、「あやしい」のです。

 

その②「税金は財源ではない」

●政府にとって、税金は財源ではなく、国債は資金調達手段ではない。政府が先に通貨を支出しない限り、民間部門は税金を納めることも、国債を購入することも論理的に不可能である。税金は所得、国債金利にはたらきかけ、経済を適正水準に調整するための政策手段である。

 

税金を「財源ではない」と言うことはできますが、そう言う事ができるということは、それが正しいという根拠にはなりません。

仮に税金は財源ではないと仮定し、経済の回り方を調整するための政策手段だと見なした場合であっても、回収した税金以上の財政支出を続けることはバラマキに等しく、必ずインフレを引き起こします。

なので、支出と税金(収入)のバランスを意識することは非常に重要です。

赤字財政でも大丈夫、むしろ赤字財政が普通だ、というのは明らかないかれポンチです。

「税金が収入でないのだから、赤字になっても大丈夫」というのは詭弁だと思います。

バラマキは、明らかに市場の金の流れが停滞しているような、梗塞状態を打開するための手段としては有効でしょうが、平時でやることではありません。

 

その③「就業保障プログラム」

●政府は「最後の雇い手」として、希望する人々全員に、一定以上の賃金水準で就業する機会を約束することができる。この「就業保証プログラム」は、「完全雇用と物価安定」という公共目的に資する、強力な経済安定装置である。

 

これはいいじゃん!と思いますが、これも、当たり前の話なんですが、その政府が雇った私みたいなニートが、ちゃんと給料分の生産性を上げているときに限り、良策になります。

その条件を満たさないで、雇用するのは、やはりバラマキです。

「雇った人の財布」を経由した、市場への間接的なバラマキと全く同じことです。

でもこういう雇用安定を担保するような政策は、失業に対する不安を軽減し、景気の上向き方向への推進剤になりそうなので、これは良い線いってると思います。

 

<まとめ>

先進国各国がのきなみ財政赤字で、それを無理くりポジティブ捉えたいという欲望と感情が生み出した理論がMMTですね。

信用の要素を無視した経済理論は全て詭弁だと思っています。

「国の信用」というのは、「絶対的評価による信用」と「相対的評価による信用」があって、絶対的評価による信用の方は先に述べたように「ダムの決壊」のようにしか壊れないので、平和だし大丈夫となったら100%安全みたいに誤認されがちですが潜在的には100%とは限りません。

相対的評価による信用は、先進国が軒並みへばってきても、みんな一緒にへばったなら大丈夫、下に発展途上国あるから大丈夫、みたいな変動の少ない信用評価軸です。

このような信用は経済データの数字には表れないですが、これを無視するのは、センスがないなぁと言わざるを得ません。

やっぱりMMTは嘘っぽかった。

おわり