新しい議論の仕組み

対話式AIができたら、それを相手に議論してみたいな、と思いました。

 

私は今までの人生で議論はほとんどやったことないです。あんまり他人に自分の意見を通すという社会経験がないからですね。

 

でも議論をすると、自分の考え方の盲点とか、ジャンジャカ発見されると思うし、それは相手にとっても同じなので、とても有益だと思います。

 

AIを相手に議論するときは、自分の意見を入力することも必要条件ですが(まず意見を表明しないと議論が始まらない)、その次に大事なのは、「なぜそういう考えに至ったか」の根拠の部分の入力ですね。

 

「根拠」というと、意見の正当性を担保するための情報、というニュアンスで捉えられるケースが多いと思いますが、私の言う根拠とは、材料になった情報全てを指します。

 

この意味での「根拠」をすべて表現する、というのはけっこう難しいことです。そこには、その人にとっての「言うまでもない当たり前」な情報が、(たぶん)全体の5割以上を占めているからです。

 

その当たり前を表現すれば、議論は何らかの結論を得て即終了、というケースがほとんどだと思います。

 

例えば「アメリカ社会で白人と有色人種の差別問題についてどう思うか?」という議論において。

 

そもそも「白人は人種レースの中でトップランナーであるべきだ」「人間は人種差において平等だった方が嬉しい」での対立が元だと思います。

 

これを伏せた上で、「白人警察官の対応は度を越していたのではないか?」と「警察に殺害された黒人は銃を持ち、抵抗するそぶりを見せていたので仕方ない」とかの意見を突合させても、あんまりしょうもないというか、「議論の進行速度が遅い」となると思います。

 

「そこじゃないんだよなぁ」みたいな論点で、怒りとか蔑みとかネガティブな感情を資本として、で、何が生産されるかというと、議論としての実りではなく、「どっちが大きい声で相手を打ち負かしたか」というパワーゲームみたいな様相を呈してくると思います。

 

そういうパワーゲームと、議論を切り離して、欲しいんですよね。私は議論に価値があると思ってるので。パワーゲームにもその価値はありますが、日常では疲れるのであまりやりたくありません。

 

で、ちゃんとした議論・・・つまり「根拠」の提示が行われれば、進行が速くなります。

 

白人「白人は人種レースの中でトップランナーであるべきだ」

黒人「人間は人種差において平等だった方が嬉しい」

白人「平等なわけないだろう」

黒人「人種レースって何?そんなのやってたの」

白人「大昔からずっとやってたよ」

黒人「知らなかった、それ迷惑だからやめてくれない?」

白人「そんな選択肢はない」

黒人「ガーン・・・じゃあ政治で変えるしかないか」

白人「無理だな」

 

で、議論終了。次のステップ、民主主義のルールに基づいて、差別反対派の議員を増やすとか、そういう工程に行きます。

 

議論においては、「白人は人種レースなるものをやっていた」ことと、「黒人はそれを知らなかった」という重要な情報が共有されました。

 

これは大きな前進です。こういう相互の情報を共有することで、「戦う必要はないことがわかった」とか「戦いは不可避だとわかった」とか、意思決定において重要な情報を得ることができます。

 

で、もし無用な争いを避けられるならば骨折り損することがなくなるし、もし不可避な戦いであるならば、その戦いはやってみる価値があるし、「どういう運命を行っても利益が出る」という勝ちパターンに入れます。

 

こういった技術は、未来が読めない(運命をデザインする必要がある)、ヒューマンにとって重要です。

 

そのための訓練として、根拠をオープンにしたAIとの議論は、やってみるといいと思います。