人間の欠陥は、欲望に基づいてしか行動できない点にあります。
①ひとつの特定の方向に向かって「前進」しかできない
②持ち合わせた性質により、他人を滅ぼす道しか歩けない場合がある
これらをカバーする方法が、客観視です。
①に関して、私も自分のオペレーションは「前進」と「減速」しかできませんが、複数の人格模型を実装しているので、ある程度、向かう方向(ベクトル)に関してはバリエーションを持つことができます。ただし、まだ技術が発展途上で、実用に耐えられるかというと、まだもの足りない部分があります。
複数の人格モデルを自分の中に摂取するためには、「客観視」が必要不可欠です。もし客観視ができないでこれをやると、ぱっと見狂人みたいな行動を取ります。「忘我」と同じような状態ですね。
一つの方向に進み続ける、というのは将来必ず破綻します。例えばリアルの道路を車で直進し続けると、必ずどこかの建物に激突する未来予測と同じ意味を言っています。
これを回避するためには、「減速」「方向転換」これらを使えるようにならないといけません。で、さらに「勢いのある直進」もあると、ある程度自由度のある戦略を実行できるようになります。壁があろうとお構いなしで突っ込まなければいけない状況はあり得ますからね。とりあえず今言った3要素「減速」「方向転換」「勢いのある直進」は未来人は皆持っているスキルだと予想します。
②に関しては、他人を不幸にしなければ幸福になれない人のことですね。私は好奇心を主力にしているのですが、好奇心を満たすことは直接的に他人に影響しないので、ガンガンやれるという利点があります。
しかし、他の欲望は、他人を傷つけたり、不幸にしないと満たされない場合が多いです。例えばフライドチキンがものすごく好きな人は、多くのニワトリを殺すことになります。こういう欲望をめっちゃ満たすと、当人に人の心があれば、「やりすぎるとまずいな」ということに感覚的にも理屈的にもわかるので、ブレーキをかけがちになります。
そのせいで「いまひとつ突き抜けない」、周りとの調和を重んじる人格が作られます。「減速」はできる、あとは「方向転換」「勢いのある直進」が足りていない、という状況です。
「方向転換」に関しては、人の多様性に依存しましょう。色んな人がいるので、その時々に応じた人材をコロコロ変えていく、今の間接的民主主義みたいなシステムで、まぁいけると思います。個人的には、頭がコロコロ変わる独裁政治の方が好きですが、民主主義のスローな方向転換でも大丈夫なような気がします。
あとは「勢いのある直進」ですが、他人を不幸にしないとダメな人でも、「良心のブレーキ」を踏まなくても、実行できる技術があります。
それが客観視です。「特定の方向に勢いよく直進する自分」を駒として見なし、その影響が環境・プレイヤー全体にどのような影響を与えるかを逐一測定しながら、コントロールする技術です。
これは、すでにできる人が大勢いると思います。政治家とか、なんらかの組織のトップにいるような人は、おそらくすでにその技術を身に付けている(身に付けているからこそ人の上に立てている)という予想です。
で、その技術の意味が、「自分に有利」というだけに留めず、「世界にとっても有利」になりえるものであると、意味の「拡張」をした方がいいと思います。
「その技術、使えますよ」という事を言いたかった。できないことをできるようになる前に、できることをもっとよく利用する、というアクションで、新たな世界が拓けるかもしれません。