この日記では、「人が自力で前に進むための有益っぽい情報提供」をしたりしているので、ちょっと「意識高い系」のような雰囲気を醸してそうです。
ですが、「そうゆう啓蒙っぽいこと」オンリーが目的というわけじゃないです。
単純に、「書きたいことを書いてるだけ」「自分が読みたい物語を書いてみるだけ」という場合もあります。
だって、お金取る書籍のようなクオリティではないし、ただの個人の「日記」です。
そういう日記も、全然アリだな、と思っています。適当人間なので。
というわけで、ある空想上の物語を書いてみようと思います。
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何億年もの悠久の時が流れる宇宙。
歴史上、とあるひとつの惑星がありました。
その惑星の名称の意味は地球の英語で表現すると「Please, kiss me」でした。
仮に「惑星キスシテ」と呼ぶことにします。
「惑星キスシテ」は名前の印象からすると、ロマンチックなようですが、そこに棲む生命体たちは、戦いに長けた、戦闘民族の惑星でした。
そのキスシテの国に、ひとりの青年が生きていました。
青年の名は「ネロネマス」。身分は、王国所属の一兵卒でした。
彼は、愛国心が強く、「自分がこの国を守るんだ」と常日頃から思っていました。
しかし、ある時、キスシテの王国に激震が走ります。
第一王子による反乱が起こったのです。
王の影響力は、全盛期のピークを超えていて、その反乱を抑え込むことができないことを悟りました。
「ここまでか・・・」
兵士ネロネマスは、反乱軍と戦って、なんとか国を守ろうと思いました。
しかし、その機会を与えられる前に、直ちに王はほぼ無抵抗で殺されてしまいました。
ネロネマスは、己の無力感に打ちのめされてしまいました。
大好きだった「キスシテ国」が壊れていく。
悲しみの中、ネロネマスは、兵士としての責任を取り、自害しました。
こうして、混乱を経て、結局、数年後に「キスシテ」は完全に滅亡しました。
さらに幾ばくかの年月が過ぎて・・・
ネロネマスの魂は、「地球」という惑星の日本に生を受けました。
名は、テストの答案用紙に書くときに、そこそこスタートダッシュに遅れる程度の長さと字画の多さがありました。
彼は、生前の記憶-惑星キスシテの思い出を、すべて失っていました。
地球人に生まれ変わる際に、転生時処理として、記憶を消されたのです。
「広い宇宙には、宇宙人とかいるのかなぁ?」
少年時代は、そんなことを思って、火星のタコ星人などをイメージしていました。
そして、「神」の存在も、未確認のため知りませんでした。
彼は日本の学校に通い、過去に大きな戦争があったことを歴史の授業で習いました。
アメリカとの太平洋戦争で、大敗し、多くの犠牲者が出たと。
戦後しばらくたって、日本は劇的な復興を果たし、経済的にも豊かになっていました。
彼は、そういう時代に生まれたので、比較的幸せでした。
しかし、日本国も、ピークを超え、あるときを境に、歯車が狂っていきました。
その様子を見た彼は、「このままじゃいけない」という危機感を持ちました。
「このままだと、この国は滅びてしまうかもしれない」
ネロネマスだった時と、状況は違いますが、国の危機という似たようなシチュエーションでした。
ネロネマスは自害を選びましたが、日本人である彼は、生きることを選択しました。
自分にやれることは何だろう。
行動力がない、情報収集能力もない、計算能力もトップレベルではない。
ただ、想像は得意だ。
情報力だ、情報力を極限まで研ぎ澄ます、そういう方向で強い生物になるんだ。
そう決心した彼は、猛特訓をしました。
そんな彼を見て、宇宙の管理者は、危機感を覚えました。
「暴れすぎだな、こいつは」
管理者は、時期を見計らって、アクセスを試みました。
彼は、管理者からある種の干渉を受け、そこで初めて「自分はずっと見られていた」ことを知りました。
それまでは、「神がもしいたとしても、自分は無関心に放って置かれている」と認識していたので、その事実は意外でした。
干渉では、恐怖も覚えましたが、単に怯えるだけではありませんでした。
鍛えた情報力で、なんとか対応しようと思いました。
見慣れぬ環境下に置かれ、彼は必死で相手の意図を読み取る洞察である「見」をしました。
するとどうでしょう?
どうやら相手もこちらを「見」をしているようでした。
お互いがお互いを「見」している。
「なるほど、敵ってわけじゃないんだな」
彼はそう判断しました。
「しかし意図が読み取れない」
情報力にも、限界がありました。洞察による探知も、より自分より遠いエリアは「ただの空想」レベルだから確信が持てないのです。
そこから、いろいろな試練を課されるようになりました。
数々の干渉。それも、かなり大変な思いをしました。
しかし、最初の干渉のインパクトが大きかったので、その経験があって慣れているので、あまり驚きはありませんでした。
管理者は、彼を泳がせることにしました。
そして、ついに脅威ではない、という一応の判定を受けることになりました。
その理由は多くありますが、
彼が自分自身の本当の気持ちを、よく知って、それを信じていたからかもしれません。
今では、管理者とも、あるときは友達のように会話するようになりました。
もちろん、お互いに馴れ合うのは危険だということはわかった上での会話です。
しかし、そこには信頼が確かにあるように思えて、温かい気持ちになりました。
管理者は言いました。
「寝ろ」
彼は答えました。
「寝ます」
そのやり取りだけで、お互い十分伝わることがありました。
「ネロネマス」
彼は、もしこれが自分の前世の名前だったら面白いなと思いました。
チャンチャン