ツイッターを眺めていたら、興味深いツイートを見ました。
NHKニュースを引用する形で、その読み方の解説のツイートでした。
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ニュースの趣旨は、
・トランプ元大統領が、もともとNATOの軍事費負担割合が、米に重く偏りすぎている(負担が大きすぎて不平等である)という不満があった。
・トランプ元大統領が不満を持っている対象のNATO加盟国とは、名指しこそしなかったものの、当時ロシアと融和方針を持っていたドイツ(メルケル政権)が筆頭だったと推察される。
・トランプ元大統領が、
メディア記者から「NATOの軍事費を十分に拠出していない国(例えばドイツ)が、ロシアに軍事的に攻められた場合、米は防衛しないのか?」と聞かれたところ、
トランプ元大統領「防衛しない。むしろロシアにはそれ(攻撃)を促す」という発言をして、ホワイトハウスやNATO事務総長などは、激しく反発した。
という内容でした。
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その解釈として、ツイートではこのニュースの解釈には2通りあると、
ひとつは、「仮想敵であるロシアに、戦争(NATOへの攻撃)を促すようなトランプ元大統領はクレイジーだ」というもの。
しかし、これは素人が陥りやすいミスで、本当は
「ドイツは当時、不用意にロシアと接近していて、自国主体の経済的な銭勘定に比重を置きすぎたための失策であり、トランプ元大統領の発言は、それを批判する目的に適ったものである」
というのが実情だ、という意見でした。
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なるほど、これは面白いですね。
プレイヤーは、ロシア、そしてドイツ、アメリカ、NATOの他の参加国
それぞれが、個として、異なる思惑を持っている。
その利害関係の絡み合いにより、米トランプ大統領から、ある意味彼らしい、ちょっと過激な発言が飛んだ、それに周りがびっくりした、ということでしょう。
ここで私の個人的な意見を書きますと、
基本的に、トランプ大統領が言ったことに対して、「どう解釈しようが」「自由」だと思います。
「こういう解釈が正しい」というものは無い。それほどシンプルなゲームはしていないからです。
その前提で言いますが、
「私はロシアに戦争を促す」というのは、明らかにトランプ大統領のミスですね。
本気でそう思っていない。なぜそれがわかるかというと、もし本気ならば、
「アメリカは、軍事費を十分に払わないドイツに軍事攻撃によって制裁を課す」
と言うでしょう。だが、それは言わなかった。
だから本心ではない。彼なりのコミュニケーションの作法でしょう。
真意は、ドイツに伝わるように不満を表明し、「是正してほしい」という意図。
トランプさんがただのビジネスマンならば、そういう言い方で、威勢良く他者をコントロールできる「やり手」という評価もなきにしもあらずですが、
国の大統領が、そのような不用意なことを言うべきでは無いと私は考えます。
つまり、聴衆には色んな人がいるわけで、その発言を「真に受ける」人もいてもおかしくないからです。
ホワイトハウスは、NATO事務総長は、トランプ氏が「大統領だから」「大統領の立場であるのにも関わらず」そういった過激なことを言うことが「クレイジーである」と非難したのだと推察されます。
トランプさんの形式的な作法については、これはミスだと私は感じました。
そして、発言内容に対しての感想ですが・・・
ドイツ(メルケルさん)はロシアとの融和へ行った。
まぁ、結果としては、「ロシアは過去からずっと、それで丸くなるような生やさしいタマではなかった」ので、
「誤った政治判断だった」ということになるでしょう。
現在のウクライナ戦争の状況を見れば、誰もがそれに同意するかもしれません。
ドイツも、ノルドストリームというガス管(?)を破壊されたりしましたからね。
ただ、私の感想としては、
「メルケルさんが、その道を信じたのだから、それはそれで悪くは無い」と思います。
つまり、一般的には「『ロシアとの融和方針』って正しいのかな?」
「それはマルかな?バツかな?」というテーマだと思う人は多いかもしれませんが、
単純な「マル・バツ」クイズとして見ても、おそらく国際政治は乗り切れません。
例えば、メルケルさんが「日和って」「怯えて」「友好を求めて」「ロシアと接近しよう」
と思っていたのならば、それはちょっと無理筋です。ロシアはそういう相手を「良いお客さん」だと見なすからです。簡単に言うと、喰われます。
ただ、メルケルさんが、ロシアのそういう部分を加味した上で、「簡単じゃ無い、まっとうじゃない相手だけれども」「それでも融和の道を行くんだ」
という決意というか、「本気」があったのならば、それは私は尊重します。
私は、過去にメルケルさんの著書を何冊か読んだので、彼女の経歴などはちょっと知っています。
メルケルさんの生きていた環境からすれば、彼女は、「ロシアのやり方」「どういう連中か」ということを、骨の髄まで理解していると、推察します。
例えば、ある会社の内部で、従業員として働いていれば、その会社の(四季報を見ただけではわからない)「実状」がよくわかる、というのと同じ事です。
メルケルさんは、確かにミスを犯したかもしれませんが、私は「それでいい」「通すもんは通せ」「それがやりたかったんだろう」と思います。
だから、その過去の結果は、受けて、続きを進むだけです。
メルケルさんの意志、それは私から見れば他人事ですが、その意志が通ったら、面白そうだなと思います。
まぁロシアは、いつまでもロシアかもしれませんが。
ロシアが動じないように見えても、けっこう、そういう人間の「本気」って、伝わってるもんですよ。
私はそれ(表面的に失敗のように見えること)が無駄であるとは必ずしも思いません。
メルケルさん、そういう人が、政治家として生き抜いた。
それを覚えていようと思います。