「なぜ世界は存在しないのか」感想文 その7

6章 芸術の意味

 

<要約>

・芸術の意味は、わたしたちが対象を能動的に見ている様を自認することによって、わたしたちを「意味」に直面させることにある。

・ゴッドロープ・フレーゲの用語法では、「意味(ジン)」とは、ある表現のわたしたちへの与えられ方を指し、否現実のものを含む。それに対し、「意義(ベドイトウング)」とは、その表現が結びついている現実の対象を指している。

・哲学者スタンリー・カヴェル曰く「幻想とは、実在と分け隔てられたものではなく、実在と混然一体なものである」。

・芸術の意味は、「意味」に対する解釈の多様性な在り方(両価値性)に親しませてくれることにある。

・芸術は、新たな意味でわたしたちを驚かせ、日常とは違った角度から対象を照らしてくれるものだ。

・わたしたちがある対象を視るとき、その対象は常に何らかの背景を伴って前に歩み出す(存在する)が、その背景は前に出てくることなく、わたしたちの目から覆い隠されている。

・わたしたちは、無限に多くの意味の場のなかをともに生きながら、そのつど改めて当の意味の場を理解していくのであり、それ以上に何も求めることはない。

 

<感想>

芸術については、私は絵は好きですが、美術館に行って、能動的に絵を観るのはやったことないですね。音楽も好きです。カラオケで歌ったり、Youtubeで聴いたりしますが、基本的にPOP'sしか聴かないので、歌詞の意味を深読みしたりはあんまりする機会ないですね。

 

芸術家で一番好きなのは、ゴッホですね。日本人は好きな人多いそうですが、あの自分の魂そのものをキャンバスに塗りたくっていくようなタッチは、「気合入ってんな~」と嬉しくなります。あと、晩年精神が狂っていく自分の自画像を何枚も描いたりして、そういう苦しみ、滅びゆくものと、真正面から対峙しようとする姿勢は敬服します。

 

私の場合は、芸術品を鏡にして、作者の頭の中とか、背景とか想像する感じですね。作品を見れば、「この人面白いことに挑戦してるな」とか「この人悲しみの感情が強いな」とか、いろいろ見えてくるので面白いです。

 

世界の芸術家たちは、現実社会の構造とか、哲学的な思想を作品に投影したりしてるんですね。あんまり、そういう芸術品に触れたことないから、何か機会があれば見てみて、能動的に意味の場を理解したくなりました。

 

私は人類絶滅反対派の人間なので、ゴッホみたいに気合の入ったバトンを受け取って、次の人に私の気合の入ったバトンを渡していければいいなぁと思っています。