読書感想文

千葉雅也さんの「現代思想入門」のフーコーの章を読みました。

 

該当章では、フーコーが「権力」について述べている内容についての解説がありました。

 

フーコー曰く、

・権力は、下の者(管理されている側)が無意識的に望んでいるために維持される側面がある

ドゥルーズの存在の脱構築のように、対象Aと対象Bはそれぞれ同一性があるのではなく、超複雑な無数の相互関係下にある。支配者と被支配者の関係も同様である)

 

・そのような考え方により、単純な「権力者批判」をするのではなく、「支配者ー被支配者」の二項対立から脱するべきだ

 

みたいな感じでした。あんまり内容を書くと、多分著作権法に触れるのですが、このくらいの一般的に知られている概要なら、いいかな?と思って書きました。

 

<感想>

日本に住んでる私から見ると、「権力が下支えされている」ことは明らかなので、「確かにその通りだなぁ」と同意しました。

 

「革命大好き、自分が利益得るためには血を見てもいいよ♫」のフランス(最近も大規模ボイコットの暴動のような運動がありましたが)においては、

 

「権力者憎し」&「攻撃してプレッシャーかけろ」志向が、かなり強いんだと推測します。

 

「とりあえず不満があったら、支配者が悪いんだ」「原理的にあいつらは敵だ」みたいな、凝り固まった人も多かった(今も多い)のでしょう。

 

そのカウンターとして、「その対立項から卒業しよう」というフーコーさんの論は、理にかなっています。

 

千葉さんは、どうやら「管理社会」が行き過ぎていることを危惧しているようで、

 

権力が社会の安定を図る際には、常にマジョリティ基準の押しつけが発生して、そこから逸脱する者(マイノリティ)が不利を受けている。

 

その権力構造を下支えしている面がある私たちは、その構造をよく知った上で、マイノリティ差別などの社会問題と向き合う必要がある。

 

差別構造を生み出す「管理社会」にブレーキをかけて、マジョリティ基準からはみ出すことに対して寛容な、雑多な面もあるような社会が好ましいのではないか。

 

という提案をされていました。

 

私的には、私もある面ではマイノリティ(異常者)ですけど、「管理社会」ってそこまで嫌いじゃないんですよね。

 

前は、日記で「監視カメラとか山ほどつけて」「監視社会の実現が好ましい」とかゆってましたし、今も監視社会はやった方がいいなと思っています。

 

マジョリティ視点から言えば、「我々とは違うもの」って、基本的に邪魔だと思うんですよね。

 

それは心理的に「気に入らない」というだけでなく、機能面でも「連携が乱れる」じゃないですか。

 

コップの中の水は、純度が高いほど、すっきり波打つことができますが、

 

そこに異物である泥とか不純物が入ると、ドロドロ・ザラザラ摩擦があって、液体としての挙動が乱されますよね。

 

だから、マイノリティという異物があると、パフォーマンス落ちるんですよ。仕事や遊びがはかどらない。

 

そういう事情もあるので、マイノリティである私は「なんだコイツ」と思われて、ある程度不利益を被ることも、「嫌だけど」「しゃあないわな」と思っています。

 

で、他方、そういうマイノリティ視点では「ちょっと嫌だな」くらいは我慢できますけど、「ボッコボコにされて命もあぶない」みたいなのは受け入れられないし、受け入れる必要も必然性もないですよね。

 

だから、「マジョリティ側は、ほどほどに手加減して、バランスとってよ」という穏便な意見が私の考えです。

 

私はマイノリティですけど、もちろん、権力を下支えする気はあります。課された税金をちゃんと払わなきゃ、法律まもらなきゃ、という意識があるということです。

 

権力機構が、機能がダウンして、国民が暴れ回ったら都合悪いなと思ってるからです。

 

私への差別(支配者と被支配者の共同作業によって起こる差別)があっても、「まぁ嫌だけど、それでいこうか」という考えです。

 

だから色んなマイノリティの人たちを守ろう、っていう動きが昨今ありますけど、

 

「マイノリティのひとたちの不利をゼロにしよう」ってけっこう無理筋じゃないかと思います。

 

その条件で、社会の機能が落ちないなら、いいんですけど、多分落ちますよね。

 

私は、他人がどんな人間であっても、ある程度寛容になる自信はありますが、

 

例えば「とりあえず殴り合いして酒を飲み明かさなきゃ友人とは認めない」という変わった人がいた場合、

 

「え、殴り合いしなきゃ仲間になれないの?」「それちょっと嫌だな」と、引いてしまいますね。

 

そういう「互換性が弱い」相手と組んで、機能・パフォーマンスを落とさないって、けっこう「マインド・ソフト面」の問題だけではなく、「ハード面」の問題でもあると思うんですよ。

 

つまり、そこまで自由自在にはできない。それだけのスペックがない。

 

という事情もあるので、

 

「マイノリティ差別」というか「マイノリティが比較的不利になる」っていう現象を引き起こす「管理体制」は、

 

良いんじゃないか、と思いますね。

 

もちろん行き過ぎはいけないんですけど。

 

この辺は、個人の感想なので、千葉さんのような理想図が実現した方が幸せになる人もいると思います。

 

千葉さんの案も、ひとつの考えとして、メモして記憶しておこうと思います。

 

おわり