数日前のクローズアップ現代で、日本のスタートアップ企業について特集していました。
ベンチャーとスタートアップの違いがわからなかったので調べてみると、
ベンチャーは新しいアイディアで今まさに発展しつつある中or小規模の会社で、
スタートアップは、革新的なアイディアで、短期的に巨大化する企業(グーグルとかアマゾンとか)
を指すそうです。
なるほど。今これ調べて、思ったのですが、
「スタートアップなんて、(日本に)必要なくない?」と思いました。
ベンチャーは、必要だと思いますよ。ずっと同じ商品・サービス提供しても、飽きられますから、それを突破するような「新しい味のするガム(付加価値)の提供」は必要になります。
でも、スタートアップなんて、つまり「成金」ですよね。
ぽっと出の。
企業活動は、半永久的に続くことを想定して、変化に対応しつつ、経営の戦略上のデザインを常にアップデートしていく、というゲームです。
「スタートアップが、急に成長して、時価総額100億円のユニコーンになりました!」
それを見て、「すげえええええ!」って思う人って、
多分、私とは想定してるゲームが違いますね。
自社がユニコーンになったら、大企業に売却して、「アガリ」だという想定であるならば、それは金儲けの観点からいってアリだと思いますが、
基本的に、企業活動にアガリはないので、ユニコーンになったあともずうっと続いていくわけです。
例えば麻雀で「役満あがれた!」
「すげえええええ!」ってのは私のような素人目にはわかりますが、
おそらくプロの人は、「役満あがれたか・・・ふぅ、じゃあ次局いくか」って軽く流すような感覚だと思います。
「ベンチャー企業が、きっちりした仕事を積み重ねた結果、時価総額100億円になった」
それはそれで良いことだし、お祝いパーティしてもいいと思いますが、
最初から、「時価総額100億円までいくぜ!」っていうのはちょっとズレてるかなと思います。
それは経営じゃなくて、「短期で会社の規模拡大ゲーム」ですね。
これを真剣にやってる人って、本当に、退屈を持て余してるんだなぁと感想を持ちます。
「普通に、コツコツと小さな成果を積み重ねて、堅実な経営するなんて、くだらねぇぜ」
って思う人しか、やらないと思いますよ。あとは、成金目指すゲームとか。そっちはそれなりにファンはいそうですけど。
で、クローズアップ現代では、
空飛ぶバイクを開発してた日本のスタートアップが、
「バイクの開発が思うようにできていないのに」
「さも素晴らしい完成品ができているかのようなプロモーションをガンガン流して」
「とにかく事業維持するために必要な、たくさんの投資を呼び込んだら」
「肝心な商品がへぼいのでほとんど売れず」
「会社は潰れました」
みたいな。簡単に言うと、「投資詐欺」ですよね。
協力会社たくさん巻き込んで、話が大風呂敷になって、「企業を成長させるしかないんだ、それめがけて一直線なんだー!」という
ブリンカー付けた競走馬みたいに走ったら、コケて予後不良ですよ。
私は、「他にもうちょっとマシなことしようと思わなかったんですか?そんなに毎日が刺激のない生活だったんですか?」と聞いてみたくなります。
あと、今現在、スタートアップとしてやっている会社が紹介されていて、
その会社は「食品ロスをなくす」という大目的を掲げて、がんばっていました。
「食品ロスをなくす」というのは、社会的に意義が大きいので、けっこう良い目的だな、と思いました。
ただ、その会社は、
「廃棄扱いの食材」を提供する会社と、
その食材を利用したい会社を、
なんかITシステムでつなげるみたいな、
つまるところ「仲介業者」のスタートアップなんですよね。
これって、どういう意志決定で、こういう事業形態を目指しているのか不明なんですけど、
仲介業者にはそもそも、価値創造におけるポテンシャルが「ほとんど無い」ですよね。
社会が求めている「食品ロスをなくす」会社とは、
「廃棄扱い食材を、引き取って集めてくれて」
「それを自社工場で、肥料なり、資材なりの製品に加工して」
「その製品を農家とか工場とかに納品してくれる」
そんな会社なら、価値を創造していると言えますし、未来永劫続きそうなポテンシャルを感じます。
単なる仲介業者、マッチングアプリで、時価総額100億円目指してるんでしょうか?
この辺の思考回路は、皮肉の意味でなく、本当に個人的に興味があるところです。
であと、「スタートアップは、全体の何割しか残りません」、みたいな話。
魚類並みに、サバイバルが激しいですよ、みたいな話。
「だからがんばろう」「もう前に進むしか無いんだ」とお尻に火を付ける前に、
そもそも「短期で企業規模拡大ゲーム」って、
「オレ一体何やってるんだろう?」と立ち止まった方が賢明かと思います。
「普通に仕事して、息子とキャッチボールして遊んでたら、全然退屈じゃないな」という気づきが・・・
「無い」「できようがない」
なら、それはそれで、「スタートアップがんばれ!もういくしかない!やるしかない!」
とエールを送る気持ちもなきにしもあらずですが、
そこまで退屈に追い詰められているのか・・・という衝撃もあります。
とりあえず、何をやろうと、すべての人の成功を祈っています。