日本の立場は、今は、中国と米国の間で、どっちにつくかユラユラしている状態ですね。
政府としては、日米同盟を軸にして、軍事面で中国をけん制しつつ、経済的には中国ともうまくやっていこう、という発想だと思います。
これは普通の判断で、別に違和感は感じないんですが、考える必要があるのは、じゃあもし中国からの干渉が「今よりも」強くなってきたとき、もし日本の操縦かんを中国が横から握ってきたとき、そのときどのような道を選択すべきか、ということです。
私の判断ですが、中国が世界に与える政治的・経済的な波というのは、「立派な大波」として役目を果たしてもらわなければならない(制限事項)と思っています。
これは、対自然ゲームにおける判断なのですが、別に範囲もそんなに広くない局所的な波で、それが稚拙であるならば、潰しちゃってもいいのです。あるいは潰さなくてもいいです。
しかし、中国の波というのは、もはや地球規模に広がりを見せているし、けっこう中国人なりに工夫もしている(単純で稚拙だとは言い切れない)ものであると評価できるので、「これは潰すべきではない、育てて、利用(世界が利益を得る)すべきだ」という判断になります。
そして、「中国の波は潰すべきではない」は、日本にとって、意思決定における制限事項となります。
ここまでを踏まえて、先ほどの「中国からの干渉が強まった場合、どのような道を選択するべきか」という問いに答えましょう。
「中国の波は潰すべきではない」ので、それを具体的にいうと「中国共産党体制の維持を阻害すべきではない」「中国国民を傷つけるべきではない」という考え方になります。
つまり、「台湾はスムーズに(人的被害なしに)中国の一部となるべき」だし、もし日本も侵略を受けたら「スムーズに中国の一部になっても問題ない(そこにも活路はある)」ということになります。
日本が中国の一部になってどのような活路があるのか?
まず、「共産党体制を積極的に支持する意を表明して、ある程度の自治権を獲得」します。積極的に支持する、というのは頭の中が国旗色に染まる、という意味ではなく、「体制維持のために政治的・経済的に役に立ちます」というギブをしますの意味です。
そのギブで何をテイクするかというと「日本の自治権と、日本文化の保護」を勝ち取ります。日本は消滅するので、「中国日本族」として心機一転、生きていくということです。
中国は伝統的に中央が貴くて、周辺地域は劣った、「夷狄(いてき)」なんて呼ばれています。周辺の戦争では「いてき」を操作して敵国にぶつけよう、なんてことをします。
そのため、日本族は太平洋地域における「いてき」となり、もしアメリカと戦争となるならば日本をぶつけよう、という発想をするでしょう。これはまぁ日本にとって必要経費です。
日本には、科学技術力があるし、和の文化もあります。中国色に染められつつも、これらを守り、活かして、中国中央部を凌駕する成果を獲得する方に注力します。
そうすると、中央は、頭を出してきた日本をたたくかもしれませんが、それを受け入れつつ、しぶとく改善を進めましょう。
で、ある程度、「明らかに日本は優れているな」というところまでいったら、中央は何をするかというと、それをマネして取り入れます。
マネをされるので、日本族には金が落ちなくなるかもしれませんが、それでいいのです。このとき得られる利益は、「中国共産党体制のアップデート」です。
周辺の外側が、ある技術を育てる、それを中央が取り入れる、アップデートを全国に広げる、中国全体の波が大きく、質の良いものになる
これが中国からの干渉が強まった場合の、日本の活路のひとつです。活路はひとつじゃないので、色々選択肢はあると思いますが、「台湾を取られた」だから日米同盟を一層強化して対中硬化しよう、とか安易にやると、こういう活路を自ら潰すハイリスクな結果になりうるよ、ということを頭に入れて置いてほしいです。
まぁ、中国に飲み込まれないで、あいかわらず日米同盟が維持できるなら、それでもいいし、未来はどうなるかわかりません。平和が一番ですね。