争いについて考えてみた その3

アメリカによるシリア空軍基地へのミサイル攻撃について。

 

・ヤフーニュース(日本テレビワシントン支局長の話)

朝日新聞の関連記事

 

を読んで、アメリカの意思決定プロセスがほんの少しわかったので追考。

 

①トランプさんへシリア政府の化学兵器使用の事実が報告される

②トランプさん情報収集を指示、戦略会議で3つの選択肢が出される

③トランプさんミサイル発射を決定

④中国の習近平主席との会食スタート

⑤ミサイル発射

⑥会食後、習近平さんへミサイル発射の事実を伝える

⑦トランプさんミサイル発射を公表

 

最終的に決定したのはトランプさんですが、その時に一応会議で周りの人に相談はしていたようです。当たり前と言えば当たり前か。

 

日本テレビワシントン支局長の話によると、

・ミサイル発射には、習近平主席との会食で交渉を有利にする意図があった

・トランプさんの側近で最も力を持っている人は元軍人

・ミサイル発射に反対した側近は、比較的発言力が低い状態 とのこと。

 

元軍人の参謀がミサイル発射への後押しをしたというのはいかにもありそうですが、

会食での効果を狙ったというのは、私は疑問があります。

 

そもそものシリア政府の化学兵器使用が会食の数日前だというのは偶然。

北朝鮮への武力行使も辞さないというアピールをする意図もあったのかもしれませんが、これが意思決定の根幹にある(トランプさんが重要視している)とは思えません。

 

相手は中国のトップなので、この程度のプレッシャーが効果を得ると期待するのは、相手を舐めすぎだと思います。

 

これは中国のトップがすごいと言っているのではなくて、安倍さんでも、仮に私でも、このアピールで判断が揺らぐということは、国のトップとして致命的だということです。

 

ニューヨーク・タイムズは、トランプさんが①で化学兵器の被害にあった子供などの写真を見て、「直感的に」ミサイル発射を決めたと報じています。

 

このメディアは反トランプなので、鵜呑みにするのはできませんが、

 

トランプさんの頭の中・・・

化学兵器ひどい!→これを許さないのが正義→アメリカは正義→アメリカはミサイル撃つ!→オレって正しい

 

という感じだったんだろうなぁと推測します。

 

トランプさんはミサイル発射について

化学兵器の使用と拡散を防ぐことは、アメリカの安全保障において重要な利益だ」

と言ったそうです。

 

もしもシリア政府の化学兵器がテロリストの手に渡ると、アメリカ本土が化学兵器の標的になりうることを懸念して、ということみたいです。

 

トランプさんは、化学兵器がすごく嫌いみたいですね。

この感覚がちょっとわからない・・・

 

私は化学兵器も通常兵器も受けたことがないので、もし化学兵器を喰らってみたらトランプさんと同じこと言うかもしれないけど、

 

今のところ、通常兵器でやられるのも、化学兵器でやられるのも、嫌さは同じくらいです。痛いか苦しいかの二択ですから。

 

ちなみにアメリカの今回の単独攻撃は、国連安保理で問題視されているようです。

そもそも化学兵器の使用が本当にあったかどうか疑われてる状態です。

 

昔「イラク大量破壊兵器がある」と言って攻め込んだものの、実は無かったという苦い歴史を彷彿とさせる行動ですね。

 

以上のことをまとめて推測すると、

トランプさんはちょっと「ヒーローを演じる」欲があるような気がします。

言い換えると「ええかっこしい」のような。

 

個人であるならば別に構わないし、ビジネスマンとしては人間的魅力を持つことは大事だと思うのですが、国の意思決定を担っている立場としては、余計な欲だと思います。

 

「人心を得るために、ええかっこをする」→これは良いんですが、

「ええかっこをして人心を得たら気持ち良い」→これはダメです。

 

トランプさんの「なりたい自分(アメリカ)」と「現実のアメリカ」の溝が決定的に深くなった(とトランプさんが自覚した)ときに、どういう行動に出るのか・・・

 

それでトランプさんの本質がわかると思います。

 

アメリカはこれから主役ではないので、これくらいにして、次回は争いのコントロールについて考えようと思います。