今回はホットな話題の北朝鮮問題を考えてみます。
ソ連とアメリカの冷戦の影響で、北緯38度線を境に国が2つに割れた朝鮮半島。
朝鮮統一を目指した北朝鮮が、1950年に韓国に侵攻して朝鮮戦争が始まりました。
その後、アメリカと中国の介入により、今は最初の38度線付近を国境として休戦状態になっています。
1953年に休戦となってから、64年間もこの状態が続いています。
私が興味があるのは、今の北朝鮮は、どのような目的を持っているかということです。
朝鮮戦争は、ソ連とアメリカの代理戦争的な意味合いがあったと思いますが、
すでに冷戦は終わっている今、その意義の大部分は失われているはずです。
となると、残るは社会主義vs資本主義という争いですが、
大将のソ連がこの戦いに負けてしまったにも関わらず、北朝鮮は相変わらず戦い続けているということでしょうか。
例えるなら、糸の切れてしまった凧のような存在なのかもしれません。
北朝鮮は独裁国家なので、金正恩さんの頭の中には当然「権力闘争」の要素があると思いますが、それを除いたら後に何が残っているのでしょうか?
韓国との和解・統合へ舵を取らない事実から、彼の頭には何らかの「特殊な前提条件」があるはずですが、もしかしたら本気で社会主義を信じているのかもしれません。
社会主義の欠点は、「労働者のモチベーションの低下を招くこと」あるいは、「労働者の自主的な献身がなければ経済が成り立たないという、基盤の脆弱性」にあります。
資本主義のいい所は、「努力すれば報われる」ところで、それが労働者のモチベーションアップを実現しますが、社会主義は努力しなくても最低限の満足は得られるため、経済発展のための推進力が得られない点にあります。
ここで問題は、経済発展は必ずしも必要か?ということがあります。
お金の話でいうと、企業は銀行から借金するので、その金利分の利益を上げ続けなければなりません。
発展途上にある企業は、借金に頼る部分が大きいので、成長することが前提にないと存在できないという制約を抱えています。
資本主義という考え方は、「経済発展することが正しい」という価値観が普遍的である時に限り、役に立つものなのだと思います。
もし社会主義を採用するならば、ある程度経済発展してから取り入れないと、北朝鮮のように貧困層がずっと苦しみ続ける悲惨な状況を招きます。
社会主義を実現するためには、
①資本主義によって経済発展を実現し、底辺の経済レベルを人道的にOKな程度まで底上げする(※水を飲んでも病気にならない、最低限の医療サービスを受けられる等)
②「経済発展することが正しい」という価値観を捨てる
③現在の経済レベルを維持するためには一定の「献身的労働」が必要であるという認識を共有する
このステップを確実に踏まないと、社会主義制度はマッチしないでしょう。
北欧なんかでは、税金がすごく高いですが、国民は「福祉を受けるための当然の負担」として受け入れています。
社会制度を「頭の中の理論」とすると、理論だけで存在しているのではなく、それを実践する「身体(国民の価値観)」とのマッチングを考慮しなければなりません。
北朝鮮の「行動原理」を理解するためには
・「北朝鮮国民の国民性(身体)」
・「金正恩の『特殊な前提条件』『肯定された欲』(頭)」
を知る必要があります。
北朝鮮ニュースでの放送の仕方、朝鮮戦争を起こした動機などを見ると、おそらく北朝鮮は、世界を相手にした「覇道」を好んでいるのではないかと推測します。
「あの経済水準で?」と思ってしまいますが、現実とのギャップがある大きな願望を抱いている可能性があります。
世界を覇するために、国民を犠牲にしても厭わないという発想・・・
これこそが、金正恩の「肯定された欲」の正体だと8割確信しています。
先日の「争い」のテーマで得られた、人が争いを起こす条件
・つよいストレス(現実と願望のギャップ)を与える
・本人が正しさを侵害されたと認識する
これに照らすと、前者の条件はすでに満たされていて、後者はこれからアメリカにより達成されそうです。
度たび行うミサイル発射は、おそらく政治的な意図というよりも、ストレスを感じた北朝鮮自身のガス抜きという意味合いが強いのではないでしょうか。
武力による政権打倒を強行すると、北朝鮮によるミサイル発射というのは80%以上の確立で起こりうると思います。
これはあまりスマートなやり方とは言えません。
金正恩の「肯定された欲」(世界を覇する)、これは国際社会とは相いれないため、潰すという方針でいいと思いますが、そのアプローチ方法は考える必要があります。
頭(金正恩)ではなく、身体(北朝鮮国民)に対する太陽作戦で離反→内部からの政権打倒を促すのが一番平和的で、確実な方法だと思います。
トランプさんは金正恩との対話を試みていますが、これはお母さんと「おもちゃを買って」と駄々をこねる子供のやりとりのように、生産性は見込めないでしょう。
「身体の骨折れてるのにええかっこしたい」欲を肯定しているトランプさんと、
「貧乏なのに世界の中心にいたい」欲を肯定してる金正恩さん
カオスな組み合わせですが、この2人が対話したときにどのような化学反応が起こるのか、ひとつのサンプルとして注目しています。