ウクライナが戦場になる可能性が出てきていますが、たまたまウクライナだった、というだけで、相変わらずその本質を見る必要があります。
戦争を起こすための必要十分条件は、2つあります。
・相手の国への不信感
・国益を求める強い欲望
ですね、これが揃えば、戦争を起こすことができます。つまり、これをどちらか片落ちさせるか、両落ちさせれば、戦争は回避することができます。
ここで、実践として工夫しなければならないのは、この2つの要素の区別です。
例えば、A国とB国は経済的に利害対立関係にあると仮定します。
で、B国は国益を求める強い欲望を持っているが、それが達成されないことにイライラしています。
このときB国はどう思うでしょうか?おそらく「A国のせいで我が国(B国)は貧しいのだ」と解釈すると思います。
そして、「A国は我が国(B国)に悪意を持っている、全く信用できない」と断定します。
この状況で、B国の経済低迷が進み、国益を求める欲望が一定以上強くなると、B国はA国に戦争を仕掛ける、という流れが発生します。
で、この流れにメスを入れるべき箇所は、
「A国とB国は利害対立している」→「A国は信用できない」
この間です。
つまり、利害対立している場合でも、A国を信用できるケースはあるのです。A国とB国、お互いに信用しているけれども、悲しいことに利害対立している、という状況はありえます。
「利害対立」→「不信」に発想を飛躍させないで、まず「あぁ、利害対立してるんだなぁ」という事実確認で、一旦思考を止めるのです。
その思考を止めた状態で、付箋を付けて置いて、その後に「相手国は信用できるだろうか?」という発想に進みます。
で、「相手国は信用できるだろうか?」という問いに対しては、「情報が無いからわからない、判断できない」という答えになることが往々にしてあると思います。
それも事実確認として、一旦止まり、付箋を付けます。
「利害対立してるなぁ」
「相手が信用できるかどうか、わからないなぁ」
この状態で、戦争が起こることはありえません。
で、次に何をするべきか?というと「相手国が信用に値するかどうかの調査」が必要になります。戦争をする前に、まだやるべきことがあるのです。
調査した結果、「明らかに相手国は我が国に悪意を持っている」という結論が得られたのなら、戦争するのもいいでしょう。
又、ここでも、「悪意を持っている原因は何だろう?相手国の感情を変える方法はないのだろうか?」という、「戦争をしないでおく選択」も可能です。
突き詰めると、「敵を知り己を知る」ことに繋がります。私がこの孫子の兵法を重宝しているのはこのためです、極めて合理的な方法論だと言えるからです。
戦争は、やった方が良いケースというのは、かなりレアケースです。換言すると、多くのケースではやらない方が誰にとっても良いです。
やらない方がいいのに、戦争をやっちゃう現象の裏には、必ず「利害対立」→「不信」への大ジャンプが存在します。
大ジャンプしないで、1歩1歩思考を進めて、止まって、付箋付けて、また1歩進む。そういう形の思考をすれば、戦争については、間違った意思決定は不可能となります。