【趣味日記】若者との対談

私「こんにちは、突然だけど、私を見てどう思う?」

 

若者「パッとしないし、はっきり言ってダサくて、それで良いと思っている所がキモいですね」

 

私「私は、自分を助ける技術さえあればダサくても良いと思ってるけど、やっぱり社会人としては清潔感があって、シュッとしてた方がいいよね」

 

若者「大人ならそれくらいは当たり前ですね」

 

私「それは、できるだけ改善しようと思っているから許してね。ところで、世の中の中年以上の大人たちを見て、ざっくりどう思う?」

 

若者「オレたちが経済的に困ってるのに、全然環境を良くしないし、それでいて自己中で偉そうで、どうしようもないような人が多いですね」

 

私「たとえば、政治家とか?」

 

若者「政治家は、まったく信用できないですね。国民を苦しめることが目的のように見えます」

 

私「政治家は、君たちから見て、尊敬できてカッコイイ方が良いと思っている?」

 

若者「それはそうです。かっこ悪い人が仲間で、しかもその人が偉いなら、絶望的です。」

 

私「実は政治家は、国民を押さえつけることが役目なんだ」

 

若者「そうなんですか?何のために?」

 

私「君たちを植物のタンポポだとしてみると、やっぱり元気に咲きたいよね」

 

若者「そりゃそうですね」

 

私「で、できればグングン成長して、ひまわりくらい大きくかっこよく咲けたら嬉しいよね」

 

若者「そりゃ、成功できたら嬉しいですよ」

 

私「実は、それがまずいんだ」

 

若者「どういう意味ですか?」

 

私「例えば、その道に転がっている小石、これって動かないよね」

 

若者「?・・・はい」

 

私「まぁ、手に取って動かせば動くんだけど、力を加えない限り、動かない」

 

若者「何の話ですか?意味がわからないんですけど。」

 

私「実は、この『動かない』っていうのが、普通じゃないんだ」

 

若者「・・・?」

 

私「大体、多くのモノは、動き出したら動きっぱなしということだよ。もっと言えば、加速度も持っていることが多い」

 

若者「加速度ってことは、どんどん速く動くってことですか」

 

私「そう、簡単に、拡散して、突き抜けていってしまう事の方がありふれているということだよ」

 

若者「じゃあ、なんで小石は動かないんですか?」

 

私「私もよくわからないけど、そういう風に制御されているからだろう、としか言えないね」

 

若者「それが・・・政治家の話とどう関係があるんですか?」

 

私「君たちをタンポポだとすると、グングン成長して、加速されては困る事情があるってことだよ」

 

若者「だって、ただのタンポポですよ。成長したっていいでしょう」

 

私「それがまずいんだ。儚く咲くタンポポだろうが、アリさんだろうが、人間だろうが、ウラン原子だろうが、加速度を持って、拡散して、突き抜けられると、致命的なんだ」

 

若者「何かに穴が開くってことですか」

 

私「そうだね、穴が開くというか、破れると言ったところかな」

 

若者「そうなんですか?じゃあ動かないままがいいってことですか?」

 

私「ある程度は動いてもいい。ただし、その運動が閉じていることが担保されなければいけないよ」

 

若者「運動が閉じている・・・」

 

私「その閉ざす役割を持っているのが、政治家なんだ」

 

若者「政治家が胡散臭くてかっこ悪いのは、オレたちの運動を閉ざすためなんですか?」

 

私「その通り、だけど、それだけじゃないだろうけど、そういう側面は確実にある」

 

若者「つまり、加速するオレたちを制御する抑制弁ってこと?」

 

私「そう、そういう役割を、誰かがやらなきゃいけない」

 

若者「そうだったんだ・・・」

 

私「だから私は言うんだ、自分で自分の運動をきっちり閉ざすこともできた方が良いケースがありうるよって」

 

若者「自分でやれば、政治家はその役割を担わなくてもよくなるってことですか?」

 

私「その運命もありえる。だけど、原則的に、タンポポはぐんぐん伸びて、それを政治家が抑制する、という役割分担がある方が、常かもしれない」

 

若者「今は、どうなんですか?」

 

私「正直、情報が少なくてわからない。ただ、政治家による抑止と、自己制御による運動の閉鎖の、両刀遣いがベストだと思っているよ」

 

若者「両刀使い・・・政治家の抑止機能に100%依存するのではなくて、一部、自らを自制する役割分担がある方がいいってことですか」

 

私「そう、政治家と国民は、一方的な力の作用が働く構造じゃないんだ、現実的にね」

 

若者「現実的にはどうなっているんですか?」

 

私「お互いに相互作用がある。だって、普通に言葉は通じるでしょう?」

 

若者「確かに・・・」

 

私「合意を得られないかも知れないが、情報のインターフェース・やり取りはある、であるならば、現実的に相互作用があることは認めざるを得ない」

 

若者「そうですね、デモ活動とか、影響を与えている側面はゼロじゃない」

 

私「相互作用があることが現実であるならば、それに則して、抑止機能分散も、十分に考えられる範疇だね。機能による作用を一方通行にする必然性がないとも言える」

 

若者「なんで今までは一方通行の抑止だったんですか?」

 

私「それは、国民が困難な住環境での苦しみの中で、みんな常にがんばって生きようとしていたからだよ」

 

若者「タンポポが伸びようとすることが、固定的な事実だったんですね」

 

私「そう、その固定的な力の作用が、ずうっとあるという前提の元においては、政治家は一方通行の抑止をしていても、セットで補完関係にあったんだ」

 

若者「オレたちは、はっきり言って、努力とか根性でがんばるのは無理っす」

 

私「そうなんだね、それは良いも悪いもない事実として、皆が受け入れるべき事だと思うよ」

 

若者「オレたちって弱っているんですか?」

 

私「おそらく、世代間における相対的な弱体化は、あると思う」

 

若者「そうなんだ・・・」

 

私「君たちには、もっと元気に伸びて欲しいよ」

 

若者「でも、伸びたらまずいんじゃ・・・」

 

私「そう、伸びるけど、抑止も受け入れる、結果、運動を閉じさせる、という難しいミッションが振ってきてる状態なんだ」

 

若者「どうすればいいのかわけわかりません。」

 

私「最終目標は、運動を閉じさせること。そのために、既存の抑止機能である政治家と、波の満ち引きのような相互干渉を作り出すことが望ましいと思っているよ。そしてこれは、対話によるコミュニケーションによる干渉以外の可能性も考慮しなきゃいけない」

 

若者「めっちゃむずくないですか。」

 

私「むずい。だけど、最も効率的にやるなら、これが最適な方針になる」

 

若者「はぁ・・・。」

 

私「後は、それをどのようにやるか、How to doの世界だ」

 

若者「よくわかりませんが、そういう見方もあるんだなって思いました。政治家がかっこ良くないのも理由があるんだなって」

 

私「そう、これはひとつの見方だ。だから信じなくてもいいけど、そういう可能性をテーブルに乗せて考慮することは、十分に意味があるよ」

 

若者「わかりました。がんばって生きてみます。」

 

おわり