ヤフーニュースで、三波春夫さんが初めて言ったフレーズ「お客様は神様です」についての記事を読みました。
その真意は、お客を立てているのではなく、「観客の前に出ることを神前であるように捉えて、襟を正してきっちり歌う」ことを表した意図だったそうです。
つまり、歌手としての自分を律する言葉だった。
で、その言葉がお客さんにとても喜ばれて、その後たくさん手垢がついて、「お客様は偉い」という意味に曲解されていった、とのことです。
なるほど、お客は、お客と言うだけでは、確かに偉くはないかもしれませんね。
ただ、私も最近、某企業のサービスに不満を持った身として、思ったことを書こうと思います。
まず、お客が店側の人をなじったり、怒鳴ったり、暴力をふるったり、そういうのはアウトなんですけど、
それがアウトであることは一旦横に置いておいて、「なぜ客が怒ったのか」について、もうちょっと考えるべきだと思います。
そもそも商売は、お客の需要に対して、サービス・商品を供給することによって、対価を得る営みです。
例えばホテル宿泊でも、ホテルマンとしての商売上の仕事とは、
部屋を整えて→チェックイン手続きをして→泊まってもらって→チェックアウト手続きをして→また部屋を整える
ではないと思います。
仕事は、「お客の需要を満たすこと」であって、部屋を用意して運用することは、その手段でしかありません。
お客は自分の需要が満たされて、「うん、ありがとう」と思って、「料金を支払います」というのが商売の基本の流れです。
しかし、会社の経営者がブラックな場合とか、あるいは、コロナ渦でサービスの提供が制限される場合とか、
いろんな理由で、「お客の需要を満たすことができない」場合ってありえます。
そういう場合は、店側としては、「ご迷惑をおかけして(あなたの需要を十分に満たせずに)申し訳ございません」という態度になるのが自然です。
だって、対価を得られるだけのサービスを十分に提供できていないんですから。
そういう「お店側からの『申し訳ございません』」は、「お客は店より偉いから、そうすべき」というわけではないんです。
「店側が、契約(需要に対して供給することによって対価を得る約束)を果たせていない」ということに対する、謝罪なんですよ。
なので、例えば店の「バイトの子」とかは、
マニュアル通りに、「コロナ渦だから、マスクしてください」とか「食べるときも黙食してください」とお願いしますが、
バイトの子が「それが社会やうちの店のルール・やり方なんだから」「お客さんは従うのが普通」「私はマニュアル通りの作業をするだけ」みたいな態度でこられると、
お客側は、「うん、店のルール云々についてはとりあえず置いといて、『俺、需要満たされてないんですけど?』」っていう問題提起をするのは、自然なんですよね。
だから店側は、「マスク付きでの食事となりますが、それでお客様の需要は満たされるでしょうか?サービスの質の低下はこちらも認識しておりますが、致し方ないため、できればうちの店のサービスにペイして頂けると助かります」
というコミュニケーションになるのが、「普通」だということです。
もちろん!
店側が「うちは客の需要なんかどうでもいーよ!こっちが出すサービスを満足して受けろよ!そんで金払っていけ!嫌なら帰れよ!」
っていう場合もあるし、それはそれで店の「自由」ですよ。
経営者はいくらでも居直る権利はあるし、バカ商売する権利ももちろんあります。
なので、店側は「客の需要に対して供給する責任」はないんです。
責任はないんですけど、普通の店なら、ちゃんと客を満足させてから対価を得ますので、
客側としては「あなたの店は普通ですか?それとも居直りバカですか?」という確認作業としての、
「クレーム」というのは、あって然るべきだと思います。
「ちょっと、これどうなってんですか?(これじゃペイできませんよ)」という問いかけですね。
それに対して、店側は、
「(満足させることができていないことに対して)申し訳ございません。ただ、○○の理由で、こうなっていますので、それでご理解を頂けないでしょうか?(このサービス水準で、ペイして頂けないでしょうか?)」
っていう・・・
のが私の普通なんですけど、
書いてて、これって普通じゃ無いのかもしれないと不安になってきました。
とりあえず、お店の人も人間なので、あんまり怒ることはないなぁと思います。
おわり