ロシアの処し方

私は今でも、中国の波の力を信じているのですが、ロシアの力はどうでしょうか。

 

プーチンさんは体制維持を余裕を持って行えていない状況にあるので、今回の侵攻も、ひとつの目的は、体制維持でしょう。

 

もうひとつの目的は、ウクライナ国内のパワーバランスをロシア勢優位まで持っていくこと。そういう意味では、国土の半分以上は最低獲りたい、と思っているかもしれません。

 

国際社会からの制裁は、確定的で、プーチンさんもそれを計算のうちに入れているでしょうから、今回の戦争でベネフィットを得るところまで売り上げをあげなくてはいけない、そうでなければ侵攻した意味がない、という判断をしていると思います。

 

で、このロシアの動き、波の力は、ぱっとみ攻撃的ですが、実のところは守りの波であり、地球上どこどこまでも影響を与える波ではないということです。

 

とすると、ロシアの運命は、縦軸国力、横軸時間のグラフで見ると、今回の侵攻でちょっと上昇して、そのあと下降曲線を辿ると思われます。

 

国力がある水準を下回ると、ロシアにとっては「ふりだし」に戻り、国内の反発等で、崩壊する危険性が発生します。今回の侵攻は主に西ヨーロッパ世界にとっては、危機的な状況ですが、もうそれが現実になったからには、先のことを見据えて行動しなければなりません。

 

大国ロシアが、再度体制維持が困難になった時、ちょっと予測不能でリスクが大きいですが、それに対応するビジョンを持ち、そのビジョンに基づいて、現在の意思決定を行った方がいいでしょう。

 

国が滅びようとするとき、それをソフトランディングさせるのはけっこう難しいことだと思います。国のトップ層は、何が何でも滅ぶことから抵抗し、もがくからです。

 

私のシミュレーションによる私見ですが、仮にウクライナを全部取られたとすると、将来「もがきやすくなる」ので、これは現時点で食い止めた方がいいと思います。つまり、米・欧州は、反撃を繰り出して、ロシアの侵攻軍に正面からぶつかっていって、国境まで制圧することが、最善手となります。

 

この手は、おそらくロシアが最も困るシナリオで、米・欧州もできればやりたくないでしょうけど、どっちのサイドにとっても、利益が一番大きいのがこのシナリオだと思います。

 

現時点で、ウクライナへのロシア侵攻軍の動きが止められないのであれば、一端退いて、ロシアがウクライナを丸ごと併合したタイミングで、NATOは軍事力を整え、ウクライナへの侵攻を宣言して、取り返す、という形でも大丈夫です。

 

一旦退いて、後に反撃するというシナリオの問題点は、ウクライナの国民がめちゃくちゃ困るという点と、核戦争のリスクがあるという点です。

 

ウクライナの国民の被害を最小にするならば、「今」反撃を繰り出すのが最もコストが低くなります。そして、核戦争については、みんな怖いと思いますが、「ウクライナを欧州に取り返された」時点で、ロシアが核戦力を行使する可能性は、みんなが思っているよりも、かなり低いです。

 

もしロシアの本国にまで、攻め込んだら、核を使うかもしれませんが、ウクライナを取られただけで、核を使うほどの「度胸」と、「判断ミス」をするとはとても思えません。

 

ということで、ウクライナ国民のために、事務的にロシア軍にカウンターを繰り出しましょう。このシナリオにおいては、経済制裁は、しなくても大丈夫です。というかしない方がいいです。