奇手の利用

経験則で人間にとっての「奇手」について書こうと思います。

 

私は基本的には、以下の手順で戦略を練り、行動に移します。

 

①自分の性質(短所、長所、嗜好等)を知る

②外部環境の情報を得る

③適切な戦略を練る

④行動を取る(戦術の使用)

 

①、②は「彼を知り己を知れば百戦危うからず」の適用です。これを満たさずに、結果を出したとしても、それはまぐれの類です。継続的に勝ち続けるためには(内容が同じ現象であっても)「まぐれ」を「必然」に変える必要があります。結果に対する認知理解の精度を上げる必要があるという意味で言っています。

 

③適切な戦略は、自分の性質(内部環境)と、外部環境、それを繋ぐインターフェイスみたいなものです。これらの内外環境に「カッチリはまっている」ことが好ましいです。この時、前提として押さえておく必要のあるポイントは「自分の性質は流動的(変化しうる)」という点と、「どの広さの外部環境に適応するかによって取るべき戦略が変わってくる」という点です。戦略はそれを採用する個人にとってはとても重要なものですが、戦略自体は、絶対に正しい、とかそういう大仰なものではなく、チェンジ可能なファッションのようなものです。

 

④私はほとんど行動しないので、これはよくわかりません。取る行動と言えば「考える」とか「判断する」とか、行動以前の準備「0歩目」で止めています。1歩を踏み出さないので、リスクがないから良いです。私は個人的には歩を10歩100歩と進めることは「0歩目→1歩目」の複製で、その複製は時間経過で劣化していくものだと思ってるので、例えば10歩目がどうなるか、については一番最初の1歩の質によって確定すると思っています。未来のことはシミュレーションできるので、実際にやる必要があまりないんです。ただ、実際にやってみると、発見があって色々技術が身に付いてきて、戦術も豊かになるので、行動することも重要だと思っています。(だが行動しない)

 

ここまでを踏まえた上で、奇手の利用について書きます。

 

基本的には、戦略が内外環境にマッチしていれば、「普通の」「まともな」行動を取っていれば、勝ち(利益)が継続的に得られる状態になります。

 

特に何も考えなくても、ただ歩いている(努力している)だけで、勝ちが降ってくる状態です。逆に言うと、それが満たされないのであれば、「その戦略が内外環境にマッチしていない」と言えます。つまり、「テクテク普通に歩いているだけで勝てるような戦略」を取る必要がある、ということです。

 

旅客機の飛行に例えると、自動操縦中であれば、パイロットはあまり緊張しませんよね。普通に、前方視界や計器類の情報に気を払って、異常の検知を怠らなければ、あとはリラックスして椅子に座ってるだけで、勝手に飛行機は目的地に近づいていきます。

 

この状態が、好ましいので、まず目指す理想形だと言えます。

 

じゃあ奇手ってどんなときに使うのさ、となります。わかりやすく言うと、飛行機が落ちそうになったときですね。

 

想定してなかった嵐がやってきて、飛行機がグラグラ揺れて、「これやばくね?」となったら、自動操縦の通常運行では対応できません。

 

まず、適切に「これやばくね?」の状況判断をする必要があります。「内外環境と、それを繋ぐ戦略」、それ自体に対する認知理解をあらかじめ深めておけば、これは可能となります。

 

それでもし「やばかったら」どうするか、とりあえず自動操縦は解除して、マニュアル操縦に切り替えます。こうなったらリラックスしていられません。緊張して、集中する必要があります。

 

このモードになったら、初めて「奇手」のトリガーに指を掛けます。

 

その嵐が「普通に、常識的に、ふるまって」突破できる程度の障害であるならば、それでGOする判断をすればいいですが、そうでないケースもよくあります。

 

そういうときは「戦略が規定する幅を最大限活用する」という戦術を取ります。サッカーでフィールドを広く使って攻める、みたいなニュアンスですね。

 

この行動により、結果として「奇手」になってしまう、という現象が起きます。フィールドを広く使うと、往々にして中央のメインストリートからは外れてしまうからです。

 

ポイントは、「普通のやり方」も「奇手」も、戦略内の範疇に入っている、同じ仲間という点です。戦略外であるならば、それは「奇手」未満の「やけくそ自暴自棄」で、これは区別されるべきものです。

 

奇手にも合理性はあるのですが、それがフィールドはじっこギリギリを攻めているので、「一般的に見ると、変な行動」にカテゴライズされがち、という現象が起こります。つまり外から他の人が見ると「変」だけど、自分的には「変じゃない」という条件を満たしているケースに該当します。

 

なので、大事なことをまとめると・・・

 

・質の良い戦略を練ろう

→「普通の手、奇手」は戦術レベルの話で、内外環境にマッチした戦略の方が大事

・戦略が規定するフィールドを広く使おう

→使えるもんは最大限使う。狭い範囲で身動きが取れない状態は、詰まされる1歩手前なのでこれを避けるのが大事

 

この2点ですね。奇手か普通かどうかは、他人から見てどう思われるか、というレベルの、「私の今日の服変じゃないかな?」とかそういう文脈でしか現れないことなので、結論としてはあまり本質的ではありません。

 

ただ、その奇手を「やけくそ」ではなく「奇手」たらしめている背景には必ず「合理性」が存在しているので、未知の合理性へのヒントとなる場合があるので、私は「奇手を打つ他人」の頭の中を見たいと思って、探しています。

 

奇手を打つってことは困ってる証拠なので、その人にとっては好ましくないでしょうけどね。